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参議院 厚労委員会
2009年 7月 7日
自由民主党 石井みどり
○石井みどり 自由民主党の石井みどりでございます。長時間の御審議が続きますので、少し視点を変えたところで御質問をさせていただこうと思います。
もう既に10年前になりますので、皆様の御記憶も薄れたか分かりませんが、日本で初の脳死判定をされたのが、10年前、1999年の2月の25日、22日に高知日赤病院に搬送された44歳の女性が、25日の日に最初に脳死の判定をして、その時点では脳死ではなく、そして2回目、3回目と判定をされた、そういうことがございました。その何日かは非常にマスメディアは大騒ぎでございました。
なぜこのことを申し上げるかといいますと、実は私は、随分その高知日赤病院の主治医の方々が記者会見で答えられているのを、私も広島の市民病院で、アニョリスマで、くも膜下出血で、そして集中治療室から一般病室へ出たところでテレビを初めて見たら、このニュースが大騒ぎでありました。幸い私は生還はいたしましたが、当時の脳外科の部長の主治医は、惜しかったな、今ごろ僕があのインタビューを受けていたのにということをおっしゃった、すばらしいユーモアの持ち主でありますが、それ以来、私は脳死下による臓器移植に対して大きな関心を抱いてまいりました。
そして、私は小児歯科の臨床医師として32年働いてまいりましたが、私の患者さんでお一人、大変残念ながら、先天性の心臓疾患で、移植しか治療法がないという患者さんを失いました。心臓疾患ですので大変細菌感染に対する管理をきちんとされていましたので、赤ちゃんのときから年に何度も定期的に通院をしてこられて、非常に御家族とも親しくお付き合いをして、今思い出しても本当に目頭が熱くなるようなつらい思いをいたしました。
そういう経験者として、今日は御質問をさせていただきます。主に、臓器移植の改正案、A案の発議者の方々に御質問をさせていただきます。
脳死といいますと、私はやはり生物学的には死であると、死であれば大人も子供もないというふうに思っておりますが、そうなると、脳の状態はどのような変化をたどるのか、純粋に生物学的な変化、転帰をちょっとお教えいただければと思います。
○衆議院議員(冨岡勉君) お答えいたします。
医学的に脳死のとらえ方については幾つかの見解があります。多くの先進国と同様に、日本においては、脳死とは、何度も出ていますけれど、脳幹を含む全脳の機能の不可逆的な停止ということを意味しているものであります。
脳死になった場合における脳の状態については、脳幹を含む全脳への血流が不可逆的に途絶することになりますので、その場合には脳細胞が死滅してしまいます。いわゆる融解壊死という状態になって、CTでは水様に映ってまいります。これが脳死の状態であります。
○石井みどり 度々問題になっております、小児には長期脳死という問題が指摘をされています。脳死状態であっても髪の毛が伸びる、つめが伸びる、歯が生え替わる、そして成長を続けていくと言われています。
私は、このような状態は脳死ではなくて重症の脳障害ではないかというふうに思っておりますが、どうも正確なところが、無呼吸テストをした上でも多少体重の増加があったとか、そういう例も一例あるようには聞いておりますが、種々言われていることは、私は、メディアを見ていましても、非常に混同されて報道されているような気がいたします。正確な御説明をお願いいたします。
○冨岡勉議員 委員の御指摘のとおりだと思います。すなわち、小児について、脳死状態であっても、髪やつめが伸び、また歯が生え替わる、成長を続けていくといういわゆる長期脳死の事例が報告されていることは私自身も承知しております。しかしながら、これらの事例は、いわゆる臨床的脳死と診断されているにすぎず、臓器移植法において求められる厳格な法的脳死判定にかかわる検査、すなわち、無呼吸テストや時間を置いての2回の検査が実施されているわけではございません。
この意味におきまして、このような状態にあるものは法的に死とされているわけではございません。小児の脳死判定に慎重さが必要であるということはもちろんのことでありますが、単なる臨床的脳死と法的脳死判定により脳死とされていることは区別して議論する必要があると考えております。
○石井みどり 同様に、脳死状態の、これ成人でありますが、脳死状態の患者さんが出産したという報告もメディアでも度々取り上げられています。脳死の方の胎内で胎児は成長するのでしょうか。そこもお教えいただきたいと思います。
○冨岡勉議員 脳死状態にある者の胎内で胎児が成長するという、いわゆる脳死出産の症例があることは存じ上げております。
元々胎児は低酸素状態に対する抵抗力があるため、死後の出産にも耐えられる可能性は否定できないと考えております。ただし、これらの症例における脳死判定がいわゆる法的脳死判定を経たものであるかどうかについてはつまびらかではないため、確定的な意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○河野太郎議員 済みません。一つだけ補足をさせていただきますと、脳死の場合にはいきむことができませんので、脳死の方から分娩があったというのは全部帝王切開でございます。そこだけ付け加えさせていただきます。
○石井みどり 小児の脳死判定は、先ほど来出ている御意見でも非常に難しいと、専門家の中でも意見が分かれる、脳死判定基準等についても様々な意見の違いがあるというふうに言われています。このことについて、どのようにお考えになられますでしょうか。
○冨岡勉議員 今日お配りしているんでしょう、恐らくこういうのが、御覧になっていただければここに詳しく書いてありますので、また後ほど。今日は配られていないですか。お手元に届いているかもしれません。
一般に、子供の脳死判定については、発達過程における脳の可塑性に対して十分考慮する必要があることから慎重に行わなければならないことはもちろんだと承知しております。しかし、平成12年に旧厚生省の研究班によって、出生予定日から起算して12週未満の小児を除いて脳死判定が可能であること、脳死判定に際しては、2回にわたって脳死判定にかかわる検査の間隔を24時間以上、成人の場合は6時間置いてするわけでありますが、そういった内容を小児の脳死判定基準として報告されております。
また、この基準を参考にしつつ、諸外国における小児の脳死判定基準や最新の医学的知見を踏まえた上で、六歳未満の者についても脳死判定基準が早期に定められることを我々も期待しております。
○石井みどり 被虐待児のことをちょっとお伺いしたいと存じます。
これも度々メディアでも取り上げられています。被虐待児から臓器提供が行われるではないか、その危険性が指摘をされています。虐待は、小児であっても高齢者であっても障害者であっても決してあってはならないことだと思っていますが、現実には社会では虐待が行われております。その虐待による死亡事例がニュースをにぎわすことも、皆様御承知のことだと思います。
虐待を防止する社会のシステムをいち早くつくっていく、そういうことが大変重要であるというふうに思っていますが、同時に虐待を見抜く小児科医、その専門医の中でも更に虐待にかかわるより専門性を持った、そういう小児科医の養成が私は大変今求められているというふうに思っています。被虐待児からの脳死臓器提供をどのように排除していったらいいのでしょうか。
○冨岡勉議員 この改正案の附則5項で、政府は、虐待を受けた児童が死亡した場合に当該児童から臓器が提供されることのないように、移植医療に係る業務に従事する者がその業務に係る児童について虐待が疑われたかどうかを確認し、及びその疑いがある場合に適切に対応するための方策に関し検討を加えているところであります。その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとして規定しております。
また、具体的には、政府で今後検討していくことになりますが、例えば虐待対応チェックリストを作成し、小児からの臓器の摘出が行われる医療機関等に備えておくことなどが考えられると思います。
○石井みどり 冒頭申し上げましたように、私は本当に、もし小児への臓器提供が日本で行われていれば失われることのなかった命、これを見てまいりました。もちろん、これは同様に、別の表現をすれば、ドナーの方がいて初めて成り立つことであります。
死に対する考え方は、この委員会での様々な参考人の方の御意見を聴いていても、もちろんこれは死生観、倫理観、価値観、まあ宗教観もあるかも分かりません、様々あるところではありますが、私が望みますのは、やはりドナーとして、もし御自分の御家族あるいはお子さんであっても、命をつなごうという意思がある方に関しては、やはり救える命を私はやはり救う、そのことが私は社会がより成長して、成熟をしていく社会であろうかというふうに思っています。一日も早い命のリレーがつながれること、これは子供だけでなく大人の方々もそのことができることを望みます。そのためには、やはりどうしても救急医療体制、特に小児救急医療体制の整備がもう前提になるだろうと思っています。
そして同時に、やはり最後の医療、終末期医療、これは特に交通事故の事故死の方の家族の方がおっしゃった、死を受容する時間、みとりの医療の重要さを随分おっしゃいました。これはやはり、医療の現場の方々だけでなく、国を挙げてやはりそういう体制をつくっていく必要があろうかと思っておりますので、この参議院で賢明なる委員の皆様の結論が出て、いち早く命のリレーがつながれることを希望してやみません。
ありがとうございました。